所感

 わたしたちはもっと大きな声を上げて驚くべきかもしれない。
 なぜなら、この「でじこミュニケーション」はおもしろいからだ。

 奇策の通じない秀逸なゲームバランス、携帯ゲームとしての遊び安さ、成功の喜びを実感できる細かな演出、なによりも多数の書き下ろしCGを使ったファンサービスなどなど、キャラクターゲームとして満点であるだけでなく、携帯ゲーム機向け経営シミュレーションとしても出色のできだ。経営のリアリティという点では至らない部分もいくらか指摘されてはいるが(週半ばでの商品補充ができないとか)、そういった制限がむしろパズル的側面を際だたせ、ちゃんと予測をして計画を立て、実行したならば結果を検討する必要のあるゲームへと昇華させている。プレイヤーのやれることは決して多くないが、その組み合わせの最適解は刻一刻と変化し続け、ゲームが終わるまでプレイヤーに考えることをやめさせない。単純作業に陥らない微妙な力関係がそこにはある。経営シミュレーションとしての心臓部分がちゃんと備わっているからこそ、このゲームはおもしろいのだ。

 キャラクターゲームなのにおもしろい。

 これが最大の驚きだ。一般的に、キャラクターゲームというジャンルはどうしようもないほどの駄作が多い。使い回しの画像やずさんなプログラム技術など、値段に見合う内容でないのが普通だ。買う側も作る側もそういうモノだと暗に了解している節すらある。買う側はコレクターだし、売る側はゲームの内容より、ポスターやテレカなどで、より「コレクション性」を高めればそれで良いと考えている(キャラクターゲームは版権の関係で再販がかかりにくい部類の商品なので、よけいにコレクター魂に火をつける)。ゲーム内容といえば、せいぜいお色気シーンをいくつか入れてファンへのサービスと豪語するのが関の山だ。むろん、例外もある。SEGAの「レイアース」のように作品を愛している人たちが心血を注いで作ったゲームもある。

 そして、「でじこミュニケーション」はその「良い」例外の方に含まれている。

 「でじこミュニケーション」は発売間近になって、一年半もの発売延期が行われた。このとき、発売元がデ・ジ・キャラットの版権元であるブロッコリー自身になり、ゲームシステムにも大幅な変更が加えられた。ブロッコリー提供のラジオ番組で、社長自らが「よりユーザーに満足してもらう内容にするためです」と語ったが、この大英断に伴う損失は相当なものだったはずだ。それでもなお、氏は顧客の満足を第一に考えた。
 雪印牛乳や日本ハムなど、「お客さまに喜んでお金を支払っていただく」という商売の基本中の基本を大企業すらもが忘れ去る昨今、こんなにも健気に商売をするブロッコリーに、我々は涙を禁じ得ない。・゚・(ノД`)・゚・ ←ほめすぎ