【東海道53次・江戸方面16日目】 :掛川駅〜金谷駅(16.1km)

E17.日坂宿  (現在の静岡県掛川市日坂)


東海道53次日坂宿の浮世絵  (広重『東海道五拾三次之内 日坂』より)

この日はJR掛川駅からスタート。

家を出るときに天気予報を見たら曇り時々晴れのようなことを言っていたのだけど、掛川駅に着いたときには雨がポツポツ降り出してきた。 天気予報の嘘つき・・・と思っても今更遅い。掛川まで高いお金を出してわざわざ新幹線で来てしまったのです。 引き返すわけにも行かず、とりあえず日坂宿に向けて歩き出します。

掛川は新幹線の駅があるくらいなのでそこそこの都会なのですが、歩くにつれて街道沿いの民家は少なくなり、周囲には山しかなくなってきます。 雨も降ったり止んだりで、空は薄暗く、とても心細い気持ちです。 そんなとき、「この先、連続雨量250mmになると通行止めです」との表示を発見。 こういう表示があるところは大抵は山あいの危険な道です。やばいなぁ〜、やばいなぁ〜、ぶつぶつ独り言を言いながら、とりあえず日坂までは歩くことにします。
実は、この日は東海道の旅の中で3本の指に入るくらい思い出に残る日になるのですが、この時はまだそんなことを知らずに歩いていました。

看板  日坂へ

どんどん山の中に入っていって、Y字路をさらに左折します。
道路にはこんなかわいいイラスト入りのマンホールもあります。これを過ぎたらもうすぐ日坂宿です。

左へ  マンホール

逆川にかかる古宮橋を渡ると日坂宿になります。
古宮橋を渡った場所には高札場が復元されています。高札場とは幕府や藩が定めた法令を庶民に知らせるための掲示板みたいなものです。

古宮橋  高札場

日坂宿は小さな宿場町なのです。江戸時代以降には鉄道や主要道路が宿場町から離れたところに造られたため、街は衰退してしまいました。 その反面、日坂宿では古い建物をあちこちで見かけることができます。
旅籠・川坂屋の建物は江戸時代から残る貴重なものです。建物の中に入ると観光ボランティアさんが詳しく案内をしてくれます。 「日坂は何もなくてねぇ〜」とボランティアさんは控えめに言いますが、僕は良い宿場町だと思います。

川坂屋  旅籠内

旅籠・萬屋の建物も江戸時代から残るものです。上記の川坂屋は武士が主に利用し、この萬屋は庶民が利用したそうです。 確かに萬屋の部屋の作りを川坂屋と比較すると、ちょっと格が下かなって思います。

旅籠  旅籠内

本陣跡は現在では幼稚園となっています。日坂宿には本陣がこの1軒しかなく、本当に小さな宿場町だったようです。

本陣跡

日坂宿を出たら、すぐに「小夜の中山」とよばれる峠が始まります。 東海道の難所と言えば箱根峠や鈴鹿峠が有名ですが、この小夜の中山も実は相当な難所なのです。 そうとは知らずに軽い気持ちでこの峠を登り始めてしまう東海道ウォーカーが多いそうです。 僕は、袋井宿や日坂宿で地元の人にこの峠のことを聞いていたため、それなりに覚悟はしていたのですが、峠の入口に差し掛かってビックリ。 物凄く急な登り坂なのです。写真では坂の急さが伝わりにくいのですが、物凄い急坂です。

看板  峠入口

さなから登山のような坂道を登り出します。初めのうちは右へ左へとくねくね曲がりくねった道になります。

曲がり道  曲がり道

しばらくの間は木々に覆われた道を歩いているのですが、途中から視界が開けます。眼下にはお茶畑が広がっていました。知らない間に随分登ってきたようです。
広重『東海道五拾三次之内 日坂』は夜泣石を不思議そうに眺める旅人を描いたものです。 夜泣石は、お金目的で殺された女性の魂が傍らにあった丸石に乗り移り、夜になると泣き声を上げたという伝説がある石です。 右下の写真は江戸時代に夜泣き石があった場所で、まさに浮世絵に描かれている場所になります。 この付近の坂は浮世絵ほど急坂ではありませんが、小夜の中山自体は浮世絵に描かれている坂くらい急な坂です。

茶畑  浮世絵地点

この辺りまで来るともう太股の筋肉がパンパンです。くたくたになって歩いていると犬が出てきました。 きっと東海道を旅する人達をこうやっていつも出迎えて励ましているのでしょう。
「東海道の茶どころ 小夜の中山 そろそろ緑茶でいっぷくしませんか」の看板が見えてきます。 このあたりが小夜の中山の中間くらいかなって勝手に思いました。 本当に腰を下ろして休まないと足が耐えられません。

犬  広告

夜泣石と並ぶ小夜の中山の名物は子育飴です。子育飴は砂糖を使用しない練り飴のようなものです。 江戸時代には子育飴を売る店が小夜の中山には沢山あったそうですが、現在では1軒しか残っていません。 数年前までは名物お婆さんが店を切り盛りしていたそうですが、現在では若女将に代替わりしました。

売店  子育飴

小夜の中山に来たらやっぱり夜泣石を見に行かなくてはなりません。東海道沿いの久延寺にも夜泣石がありますが、これは偽物らしく、本物は少し離れた国道1号沿いにあります。 日坂宿で本物の夜泣石への行き方聞いたら「舗装された車が通れるくらいの道だよ」と言われたのですが、実際に来てみると・・・完全なハイキングコースです。騙された・・・。
とりあえずここまで来たら引き返すわけにも行かない。おそるおそるハイキングコースの矢印通りに進むことにしました。 ハイキングコースとはいえ、道は荒れ放題。途中、倒れた木が道を塞いでいたり、崖崩れがあったり、草がぼうぼうでどこに道があるか分からなかったり・・・。

林へ突入  荒れ放題

何とかして夜泣石に辿り着きました。あ〜しんどかった。すぐ近くにお店があったので御当地グルメ「静岡おでん」を食べながら一休みしました。 店員さんと話していたら、「えっ〜!あの道を通ってきたの!?」と驚かれました。ひどい道でしたが、お陰様でとても良い思い出になりました。

夜泣石  おでん


back home go