【リプレイ風小説 第2話 0.375】

 

ACT.9 脱出


「『クリーパー』のお宝いただいたら、終わりじゃねぇのかよ!」
スニークが文句を言った。
「つべこべ言わずに走れ!コソドロ!」
走りながら、RRが叫んだ。
地面が揺れて走りにくい。あちこちで洞窟の天井が崩れ、大きな石が落ちてくる。安穏と立ち止まっているワケにはいかない。崩壊し始めた『秘密ダンジョン』を8人の冒険者と1匹の魔獣は走っていた。
からくも『クリーパー』を倒した後、生き残った3人は『フェニックスの羽』を使ってビショップを『生き返らせ』た。後は、シップが順番に『リザレクション』をかけて皆を『生き返らせ』たのだった。
勿論、スニークはその間に『クリーパー』が守っていた宝の山を見つけるのを忘れてはいなかった。
「ウギャギャ!」
コボルトは立ち止まって、目に付いたクローラーを、『クリーパー』を仕留めた槍でつつき始めた。
「ツンツク!ちょっかい出さないの!」
「ギャウワ!」
魔獣は不満そうな声を上げたが、フラウの命に従い再び走り出した。
シーフのスニークが先頭を走り、素早い動きのコボルトが2番手につけていた。その後を軽装のバイト、フラウ、RRが続き、やや遅れてパラレル、トミー、ナイトが重い鎧をがちゃつかせて続いた。しんがりには、ビショップのシップがついていた。
「ちょーっと待った!トラップが・・・」
先頭を走っていたスニークが急に立ち止まって叫んだ。が、最後までセリフを言う前に、コボルトがドンとぶつかって、前のめりに倒れてしまった。
瞬間、トラップの『コア』が作動した。スニークの周りにスモークを炊いたような靄が立ち込めたかと思うと、凍えるような冷気がスニークに向かって噴射した。
コボルトは目の前に立ち込める靄の中に立つ凍えたシーフを不思議そうに見ていた。
顔色は蒼白で、ひと筋たれたハナが凍っていた。
ツンツクは、持っていた槍の先でスニークをつついてみた。
凍ったように見えるが、中身はまだ生のようだ。
「やめなさい!ツンツク!」
「ウギャ?」
フラウが魔獣をたしなめた。
「コ、殺ス!寄セ鍋ニシテ、食ッテヤル!」
スニークは凍えた口でやっとの思いで叫んだ。
『秘密ダンジョン』の出口は、もうそこに見えていた。
 

 

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