【リプレイ風小説 第2話 0.375】

 

ACT.6 リザレクション


 危機的状況であった。
ナイトを失った今、8人いたパーティーで生き残っているのは、シーフのスニーク、ウィザードのRRとビショップのシップの3人だけであった。
シップがひとりで『クリーパー』の攻撃を受け止め、スニークとRRが離れたところから攻撃をしかけたが、元々『火力』の高くない2人の攻撃では、いつになったら倒せるのか見当がつかなかった。逆に、このままでは、衝撃波かワームか体当たりか、いずれかの餌食になる確率の方が高かった。
しかし、全滅するわけにはいかない。
3人は打開策がないか必死で考えた。

「5秒だ」
何度目かの衝撃波を耐え忍んだとき、RRが言った。
「5秒?」
「衝撃波が収まってから、次の衝撃波が来るまでの間隔が、5秒だ」
「5秒でおいら達に『クリーパー』を倒せってーの?」
「確かに我々3人では、『火力』不足です。『クリーパー』を倒すことは難しいと思います。でも、私達には力強い仲間がいます」
「仲間ったって、みんなやられちゃったじゃないすか。どうするんです?BISのダンナ!?」
「『リザレクション』を使います」
「5秒しかないんですぜ。折角『生き返らせて』も、また衝撃波にやられちまうのが落ちじゃねぇの?ダンナ」
「だが、それしかないだろうな」
RRが言った。
「『リザレクション』の後、すぐに『フルヒーリング』と『アースヒール』をかけて体力を回復させる。これを衝撃波が止んでから次の衝撃波が来るまでの5秒間でやるんだ」
「それしかないですね。問題は誰を『生き返らせる』かなのですが」
また、地鳴りが鳴った。
3人は赤い液体を無理矢理のどの奥に押し込んだ。
「『生き返らせる』ならば、まず、弓使いだろう」
「どうしてパラレルさんを?」
「第1に、遠距離からの攻撃ならばワームも体当たりも影響を受けない。第2に、早いうちにアクシデントで『死』んだのだから『ポーション』をまだ大量に持っているはずだ。それに」
RRは言葉を継いだ。
「第3に、彼女は『羽』を持っている」
「『羽』って、あの赤い羽がなんなのさ!?」
「『フェニックスの羽』ですか?」
「ああ。間違いない。『死』んだ者を『生き返らせる』魔法の羽だ」
「有難い。『フェニックスの羽』があるのなら、万一私に何かあってもなんとかなりますね」
「ちょっと待った!おふたりさん。その間『クリーパー』が黙って見ててくれてるとは思えないんだけど。今が戦闘中だっての忘れちゃいませんか?」
スニークが口を挟んだ。
「この作戦は、3人が力を合わせる必要がある」
「3人って、BISのダンナとWIZのアニキと・・・おいら?」
「そうだ。弓使いを『生き返らせて』体力を回復する間、『クリーパー』を引き付けておく囮役を、コソドロ、おまえがやるんだ。」
「ムリムリ!おいら非戦闘員だもん」
「いや、この役は逃げ足の速いコソドロにしかできない」
「そりゃ、逃げ足には自信があるけどさ・・・」
「頼みます。コソドロさん!」
気乗りのしない顔のスニークに、シップが畳み掛けた。
「わかったよ、やるよ!やりますよ!」

スニークは、手裏剣をいっぺんに2枚構えると、意識を集中し第6感を働かせた。上の歯で下唇をきつく噛む。神経が研ぎ澄まされ『心の力』が湧いて来る。構えた2枚の手裏剣を『クリーパー』を狙って一度に投げつけた。2枚の手裏剣は『クリーパー』目がけて一直線に飛んで行き、口の下の柔らかな部分に突き刺さった。
「どうだ!痛ぇか!?おいらも痛ぇよ。懐が!」
一度に2枚の手裏剣を投げる技は、その分、手裏剣の消費も早くなる。スニークにしてみれば、経済的に懐を直撃する諸刃の剣であった。
スニークは一定の距離を保ちながら、手裏剣を投げ、投げては逃げ回った。
「よっしゃ!そこビンゴ!」
期待を込めて指をパチンと鳴らしたが、しかし、何も起こらなかった。
『クリーパー』が通った後には、スニークが仕掛けた罠が、重みでひしゃげて転がっていた。
「あっちゃ、ダメかよ!」
オーバーに悔しがりながらも、スニークは横目でシップとRRが『死』んだパラレルの横に移動したのを確かめた。
『クリーパー』の動きが止まり、また、地鳴りがした。

『リザレクション』の呪文を唱えると、すぐさまシップは『チャージングポーション』の青い液体を飲んだ。神経が研ぎ澄まされ『心の力』が湧いて来る。
急いで『フルヒーリング』の呪文を唱える。
RRが唱える『アースヒール』との相乗効果で『生き返った』ばかりのパラレルの体力は、あっと言う間に全快した。
立ち上がったパラレルを『クリーパー』越しに見てとると、スニークはパチンと指を鳴らした。
衝撃波が止んでから、この間5秒、また地鳴りが始まった。
「来るぞ!『ヒーリングポーション』を飲んで!」
言われるままにパラレルが赤い液体を飲み込むのを見届けて、RRは自分も『ヒーリングポーション』を飲みくだした。
「よかった。ぎりぎり間に合いました」
シップは生き返った弓使いを眺めて微笑んだ。
「シップ!ポーションを早く飲んで!」
「飲みたくても飲めないんです」
「!?」
ビショップは静かに答えた。
「もうポーションがないんです」
 

 

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