【リプレイ風小説 第1話 魔術師達の饗宴】

 

ACT.2 RR


7人のウィザード。『チリ』が3人、『メテオ』が3人、『支援』が1人。アインは、『支援WIZ』の常として、パーティの戦力を分析した。偶然集まったとは言え、これはなかなか強力なメンバーかも知れない。
3人の『メテオ』が後方から強力な最終魔法『メテオシャワー』で先制攻撃し、ひるんだところを『ファイアーエンチャント』で強化した『チリWIZ』が『チリングタッチ』でしとめる。
『火力(攻撃力)』はおそらく最強レベルであろう。しかし、今のメンバーでは決定的に足りないものがある。
「RRってヤツはビショップなのか?」
ドーンが皆に問いかけた。
この7人に足りないもの。それは防御と癒しの力である。さまざまな魔物の攻撃に対抗する防御の技。毒や呪いを無効化する術を身につけたビショップは、パーティーには不可欠なのだ。
リーダーのRRがビショップならば、このパーティーは最強の組合せのひとつと言っていいかも知れない。
「さて、拙者はRR殿の「『メテオ』募集」の『叫び』に『耳(コンタクト)』しただけですので、存じませんな。誰か知っている御仁はおられませんかな?」
「「『メテオ』募集」ですって?」
「あ、私もその『叫び』を聞いて『耳』しました。『耳』で話しただけですが」
「自分もです」
3人の『メテオWIZ』は異口同音に述べた。
「俺は「『チリWIZ』募集」だった」
「え?」
ドーンの言葉に他の2人の『チリ』も頷いた。
「確かに私のときも「『支援WIZ』募集」の叫びでしたが、これはよくある叫びなんで気にしませんでした。しかし、ウィザード限定の募集だったとは・・・」
RRが何者であるか誰もわからなかったが、7人のウィザードが意図的に集められたことは明らかであった。
一同は皆、一様に黙り込んでしまった。
静かなときが流れた。

「犬が・・・」
「どうかされましたかな?支援殿」
「犬が騒いでいる」
アインの言葉を受けてウィザード達は耳を澄ませた。確かに遠くの方から犬の吼える声が聞こえた。この廃坑に棲みついた野良犬共に違いない。
「方角からして入り口の方ですね。何かを追いかけてこちらに近づいてくるみたいです」
「フン。いよいよリーダー様のお出ましか」
アインの言葉に続けてドーンが鼻を鳴らして言った。
そうこうしている間に犬の鳴き声は大きくなった。鳴き声が複数の犬のものであることは誰の耳にも明らかであった。威嚇するような唸り声。やかましく吠え立てる声。それに混じって金属が擦れるような異音が聞こえた。
どうやら追いかけてくるのは犬だけではないようだ。
「随分とお客さんを連れてきやがったな」
ドーンがまた鼻を鳴らしながら言った。
「冗談を言っている場合じゃないですよ。ビショップさんは『火力(攻撃力)』がないんだから。助けに行かないと」
「『火力』がない代わりに打たれ強いと相場は決まってるがね」
ドーンの台詞にアインが非難の目を向けた。
「茶化さないで、助けに行ってください」
「はいはい。わかりましたっと」
ドーンは腰を上げると、同じく立ち上がろうとする他のウィザードを右手で制した。
「野良犬やクレイゴーレムぐらい俺ひとりで充分だ」
そう言うとドーンは、今やはっきりと聞こえる犬の鳴き声がする方に駆け出そうとした。
「待って下さい。『支援』を」
アインが杖を振るとドーンは体中が熱を帯び自分の杖に炎の魔力が宿るのを感じた。
もう一度アインが杖を振ると今度は一瞬ふわりと宙に浮いたような感覚がし、風の魔力により体が軽くなった。
「余計なことを」
ドーンはフンと鼻を鳴らし今度こそ駆け出そうとした。そのとき大きな爆発音とそれに混じって野良犬たちの断末魔の声が聞こえた。続いて熱い空気の流れが7人のウィザードの頬をかすめた。
「待たせてすまない」
爆風を背に男は立っていた。
「私がこのパーティのリーダー、RR。『メテオ』だ」
 

 

<<前へ                        <戻る>                     次へ>>