relieved
















「おい、。酒持ってこい。」
「はいっ、船長。
 でも、あまり飲み過ぎるとお身体に…」

「お前、医者なのか?違うだろ。
 何かあったらナースたちが止めてくれりゃァいいことだ。
 がとやかくいうことじゃない。」
「はい…」


白ひげにぴしゃりと言われ、は俯いた。


「そろそろ飯の時間だ。
 お前もコックたちの手伝いをしてこい。」
「はい、分かりました。」



は白ひげに背を向け、厨房へと向かって行った。
途中彼の方を振り返ると、既にナースたちに囲まれている。
は小さく溜め息をついた。






エドワード・ニューゲートは、白ひげ海賊団の船長。
トレードマークの白髭から、『白ひげ』と呼ばれている。
仲間想いの彼は、船員からの信頼も厚かった。
もちろんもその一人だった。


はこの船で働く、いわゆる雑用だ。
少々口が悪いが、誰よりも仲間を大切にする白ひげを、彼女は尊敬していた。













、また親父に何か言われたのか?」
「まぁね。でも、ああやって船長が元気でいてくれるのが何より…かな。」


昼食の準備に追われている厨房の入ると、コックたちは慌ただしそうに動いていた。
は慣れた手つきで出来上がった料理を皿に盛り付けていく。



「あんなに綺麗なナースたちに囲まれてるのによォ、親父ってには冷てェよなー。
 お前、よっぽど色気ねーんじゃねェの?」
「カーター!!」

は少し大きな声を出した。

「ごめん。冗談だって。
 ちょっと外出るか?」
「うん。」

そう言って、二人は甲板へと向かった。






カーターはこの船の中で、唯一と同い年だ。
そんな縁のせいか、二人は何でも相談し合える仲だった。





「まぁさ、親父には親父なりの想いってもんがあんじゃねーの?
 ほら、可愛い子ほど虐めたくなるって言うじゃん。

 あ、お前の場合可愛いって言葉は似合わねーか。」
「ちょっとー、ふざけないでよー!!」
が親父の態度で悩んでるのも分かるけどさ、細かいこと気にしてたら海賊船になんて乗ってられねーぞ。
 いつ何が起きるか分からないのが海賊だからな。」
「だってあたし、海賊じゃないもん。雑用だもん。」


は拗ねながら言った。


「雑用も何も関係ねェ。
 白ひげ海賊団の船に乗ったならみんな家族も同然って、親父が言ってただろ?
 だから気にすんなって。
 

 あー、腹へった。
 おれ、飯食ってくるわー。」
「うん、いってらっしゃい。」




はカーターを見送った。
とても食事をする気にはなれない。
今はそんな気分だった。








仲間想いな白ひげ。
それは誰もが認めていた。
白ひげはみんな平等に、家族のように扱っていた。












を除いては。
























確かには船員でもないし、ナースでもない。
白ひげにしてみたら、ただの雑用だ。
それでも、やはり尊敬する人に冷たくされるのは少々心が痛むものだった。
楽しそうに笑うナースたちを見ると、いてもたってもいられない。
いつもは我慢できるけれど、なんだか今日はそういうわけにはいかないようだ。














、何やってる?」
「…船長?!」



振り返ると、そこには大きな身体の白ひげが立っていた。
は涙が滲んでいる目を擦った。


「何泣いている、この泣き虫小僧が。」
「…泣いてなんかいません!!」

「これで泣いてないと言えるのか?」


白ひげは大きな手で、の涙を拭った。


「もうじき島に着く。
 お前もさっさと飯を食っちまえ。
 皿が片付かねェじゃねーか。」
「はい…」

は白ひげに促され、食堂へと入る。








甲板の柵にもたれかかり、手に持った酒を飲む白ひげの眼は、遠くを見つめていた。



























「着いたぞーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」

船員の合図と同時に、一気に島に上陸する。
何度見てもこの光景に、は圧倒されていた。
まず船員や隊長たちが攻めていき、船長である白ひげは船で待機する。
もちろんやナースもお留守番だ。


「おい、看護婦。酒はまだあったか?」
「これが最後の一樽です。
 でも、それくらいでやめた方がいいと思いますよ。」
「島に降り立つ前と言ったら、酒が必要だ。
 
 野郎どもはもう行っちまったし、買い出しにも行けないな。」
「そうですね。私たちもこの格好では身元がバレて誰も売ってくれないでしょうね。
 おとなしくお酒は控えた方がいいんじゃないですか?」

白ひげのすぐ横にいたナースが、少し皮肉っぽく言った。




「それなら、私が行きます。」
!!お前酒樽なんて一人で買いに行けんだろう。
 あんなもん持ったらひっくり返っちまう。」
「荷台か何かを借りてくれば大丈夫でしょう。
 それに、私ならまさか白ひげ海賊団の者だと、誰も思わないでしょうし。」
「…そうか。そうしてくれるならありがてェ。




 それにしても、いつも酒を反対するのに珍しいな。」
「たまにはそういう時もあるんです。


 それでは、行ってきますね。
 一時間もしないうちに戻ってこれると思います。」





そう言うとは船を下りて行った。



本当は買い物なんてどうでもよかった。
酒だって飲ませたくない。
それでもは、あの場にいるのが耐えられなかったのだ。


















島に入って少し歩くと、酒屋があった。
が店の中に入って行くと、中にはたくさんの酒樽が並んでいて、小さなバーカウンターもあった。




「いらっしゃい。
どんな酒が欲しいのかな?」


店の主人がに話し掛ける。
店内にはの他に、若い男二人がいて、酒を飲んでいた。







「(船長はお酒にうるさいから…)

このお店で一番高いお酒をいただけるかしら?」
「一番高い酒ねぇ…。
 お嬢ちゃんそんなに金を持ってるのかい?」
「えぇ、お金なら持っていますので、安心してください。」
「分かった。
 今倉庫から持ってくるから、ちょっと待っててくれ。」



そう言うと、店主は店の外へ出て行った。















「お姉さん、金持ってるんだって?」
「えっ…?」


男二人がの方に歩み寄ってきた。


「大人しく金を渡せば何もしないからさ。


 ほら、出してもらえる?」



男たちの冷たい言葉に、は言葉が出なくなっていた。



「そんな大金持ち歩いてる君がいけないんだよ?」

男の顔が、の顔ギリギリまで近付く。
ここで大人しく金を渡してしまえば、事はそれで済むのかもしれない。
でも、そんなことをしてしまっては、船に帰ってから白ひげに合わせる顔がない。
は白ひげの小さな期待ですら、裏切りたくなかった。






「うっ…っ!」



の目の前にいた方の男が、小さく声を上げた。

「てめぇ…大人しくしてりゃぁいいのに……」



はとっさに男の足を踏んでいた。

とりあえず逃げなきゃ、そう思ったは、二人の間をすり抜けて店の外に出た。
男たちもの後を追う。
島の地理を全く知らないは、圧倒的に不利だ。
100メートルも走らないうちに、すぐ捕まってしまった。




「こいつどーする?」
「とりあえず連れて帰る。」
「了解。」




すると男はを肩に抱えた。
男の力はとても強くて、抵抗しても動けるはずがなかった。
































「お頭、戻りました。」
「何か収穫はあったか?」
「女一人連れて来ました。」



が目を開けると、そこにはたくさんの男たちがいた。
ギャンブルでもするような場所なのだろうか。
薄暗い明かりの中で、色々な音が響いていた。
そして、の目の前にいる大男が『お頭』と呼ばれている男だ。



「そうか、よくやった。
 今町には海賊がやってきてるらしいから、外にも出れねぇしな。
 いい暇つぶしになるだろう。

 適当な部屋にでも入れておけ。」
「了解しました。」




は少し離れた部屋の中へ入れられた。
部屋には小さなソファが一つあるだけで、明かりも裸電球が一つあるだけだった。



「後で迎えに来るから、それまでここで大人しくしてろ。」

男は冷たく言い放ち、部屋を出て行った。
カチャリという音がしたことから、鍵がかけられたことが分かる。
は部屋に一人取り残されてしまった。


仕方なくソファに腰を下ろす
こんな時に、またあの時の様に、白ひげが助けてくれたら。
はそんなことを考え、恐怖からまた涙が溢れていた。
















































あれはまだが5歳だった頃。
はルヌラ島にある、小さな町に住んでいた。
町のみんなも仲が良くて、まだ幼いは、毎日が楽しかった。

そして若かりし白ひげは、相変わらず海を旅していた。















「親父、そろそろ食料も底を尽きます!!
 どこかで調達を…」
「そうか。
 予定にはなかったが、この辺で島に寄ることにしよう。

 近くに島は見えるのか?」
「とても小さな島なら見えますが、島一つ潰しても船員全員分まかなえるかどうかってくらい小さい島です…
 地図によると…ルヌラ島というらしいですが。」
「かまわん。
 島ごと掻っ攫ってしまえ。グララララ…」

偉大なる航路(グランドライン)を渡る白ひげ海賊団は、ルヌラ島を目指す。


























「海賊だーーーーーーーー!!!
 海賊が来たぞーーーーーーー!!!」





叫びながら町を走る男。
その言葉を聞き、町の人々はあたふたと動き回る。




「しかも、あの…あのっ!!!


白ひげ海賊団だーーーーっ!!!」




町のみんなの顔つきが一気に変わる。


「白ひげが、なぜこんな小さな町に!!」
「分かんねェが、あの海賊旗は間違いなく白ひげのやつだ!」
「逃げるったって、こんな小さな島じゃ逃げ場がねェぞ!」
「分かってるって!!
 とにかく、みんな荷物をまとめて島を出るんだ!!!」



白ひげが島にやってきたと聞いて、みんな大騒ぎだ。
手当たり次第荷物を詰め込み、家を飛び出す。




、あなたも逃げるのよ!」
「逃げるって…?
 どうして ?お母さん?」
「島に恐ろしい海賊が来たの。
 だからみんなで逃げるのよ」
「またお家に帰って来れる?」
「そうね。みんな無事だったらね。」
「お母さん、ターニャも連れてっていい?」
「いいわよ。
 早く持ってらっしゃい。」


はターニャと名付けられた、熊のぬいぐるみを持ってきた。



「さぁ、行きましょっ。」



は母に手を引かれ家を飛び出した。














「お母さん、どこまで逃げるの?」
「どっか遠くかしらね。
 ちゃんとついて来るのよ!」

5歳の足では歩幅も狭く、は必死になって走る。





「こっちはダメだ!!
 もう奴らが来ている!
 みんな、山の方へ回れ!!!」




海賊たちが入ってきた海の反対側にある川から逃げようとしたが、そっちも塞がれている。
このままじゃ誰も助からない。
誰もがそう思っていた。




すると山の入口に、子供が一人隠れられるくらいの洞穴があった。





「ねぇ、
 今からお母さんが逃げ道を探してくるから、その間ここでお留守番できる?

 誰が来ても絶対に外に出ちゃダメよ。
 分かった?」
「うん。、できるよ!」
「そう、お利口さんね。
 じゃぁ、お留守番お願いね。




 愛してるわ、。」

母は掠れた声でそう言い、を抱きしめた。
せめてだけは助かって欲しい。
そんな母親の愛情だった。




















は母の言い付けを守って、ずっと待っていた。
夜は暗くて、寂しくて、一人ぼっちで。
それでもは一人で耐えていた。
























夜が明け、白ひげは町を散策していた。
昨日のうちに島の人はみんな追い出したので、食料を集めたり、宝を見つけたりしていた。





山のふもとに差し掛かると、小さな人影が見えた。




「まだ生き残りがいたのか。」




白ひげは殺意を剥き出しにして、に近付いていく。






間近で見てみると小さな女の子だったので、白ひげは少し驚いた。
でも所詮人は人。
を捕まえようと手を延ばそうとした。






























「おじさんも一人なの?」
「……えっ?」



の突然の言葉に、白ひげは息を飲んだ。



「私も一人なの。
 お母さんがここで待っててって言ったから待ってるんだけどね、昨日からずっと一人なの。


 おじさんは寂しくない?」


の真っ直ぐな瞳から、白ひげは目を離せなかった。

「……あぁ。」

答えに困り、曖昧な返事をする。

「もし寂しかったら、おじさんにもターニャを貸してあげるね!
 ターニャね、くまさんなんだけどね、いつも私のこと励ましてくれるの。」






ドサっ





「おじさん…?」






白ひげは片手でを抱き抱え、歩き出す。
いつもは非情な白ひげだが、今日は少し違った。

















「お前、名前は?」
だよ!!
 おじさんは?」
「俺の名は、エドワード・ニューゲート。」
「エドワード・ニューゲート…


 じゃぁ、エディだね!!」


は、ニコっと笑った。


「エディか…。いいニックネームだな。」
「これからどこ行くの?」
「おれの家だ。」
「お母さんは?」
「…………

 お母さんはじきに来る。
 それまでおれのところで待ってろ。」




言葉に詰まった白ひげは、とっさにそう答えた。







「エディって、おっきいねっ!!
 お父さんより、ずっとずっとおっきい!」
「そうか。」


今までいくつもの町を潰してきたのに、何人もの犠牲者を出してきたのに、白ひげは初めて心が痛んだ。
この小さな少女の両親や、未来を奪ってしまったのだから。





「すまんな…。」
「どうしたの?エディ。」
「いやっ、なんでもない。
 疲れただろ?寝てていいぞ。」


そう言って、白ひげはの頭を撫でた。
は白ひげの胸に顔を埋め、満足そうな顔をして寝息を立てた。


























「親父っ、その娘は…?!」
「拾ってきた。」
「…拾ってきたって。」



海賊船に戻ると、船員たちは不思議そうな目で二人を見た。


「今日からこの船で預かる。
 こいつは仲間だ、よろしくな。」
「はっ、はぁ…。」




目を丸くしている船員たちの前を通り、白ひげは自分の部屋へと戻った。
をベッドに寝かせ、自分もその横に座る。
の無邪気な寝顔を見ていると、堪らなく愛おしくなった。
まるで自分の子供のような、愛情が湧き始めていた。
眠っているの手をそっと握る。






「エディって優しいね。」

小さく目を開けたが言う。

「私ね、エディが来るまで凄く寂しかったから、エディが来てくれて嬉しかったの。
 ありがとう。」


は笑顔で言った。






、こっちに来るか?」
「うんっ!」


白ひげはを抱き上げ、自分の膝の上に乗せた。



白ひげとじゃれ合う
その様子は本当の親子のようで。
ついさっき出会ったばかりの二人とは思えなかった。




も白ひげと遊ぶのが楽しくて、いつの間にか寂しさも忘れていた。



































が二十歳になった頃。
いつものように、食事を知らせる為に白ひげの部屋のドアをノックする。






「エディ、食事の用意ができました。
 食堂に来て下さいね。」



小さくドアを開けてそう言ったが、返事がない。



「エディ…?」


心配になって部屋の中に入ると、白ひげはこちらに背を向けてあぐらをかいている。


「どうしたの?
 食事ができましたよ…?」



「……さい」
「えっ?」
「うるさいって言ってるんだ。
 勝手に他人の部屋に入るな。」
「…エディ?」



白ひげの冷たい言葉に、は後ずさりした。



「それから、気安くおれの名前を呼ぶな。
 これからはちゃんと『船長』と呼べ。」
「…はい。」


いつもと違う白ひげの態度に、は動揺していた。


「分かったらさっさと出てけ。」

「はい、船長。」








掠れた声で返事をすると、は白ひげの部屋を出て、船の甲板へと向かった。
そこで小さくうずくまり、大粒の涙をポロポロと流す。
あんなに優しくしてくれた白ひげだったのに。
何故突然変わってしまったのか。
一番信じていた人だっただけに、そのショックは計り知れないものだった。
とめどなく溢れる涙。
白ひげと初めて会った日、の涙を拭ってくれた白ひげの手を思い出す。



の両親がいないことを知って、自分の親代わりになって優しくしてくれた。
いつもを笑顔にしようとしてくれた。



そんなことを思うと胸が熱くなってきて。
どんなに冷たくされても、は白ひげのことだけは嫌いになれなかった。



















































「そういえば、が酒を買いに行ってもう1時間以上経ってねェか?」
「そうですね。
1時間半ほど経っていると思います。

それより、そろそろ船長にとどめをさしてほしいと、さっき船員が伝達に来ました。」


ナースが時計を見て言う。



「そろそろ行くか。」


白ひげが椅子から立ち上がった。


「そうですね。船長が行けば一発で…」
を探しに。」
「えっ?をですか?」

白ひげの言葉に、ナースは驚いた。

「でも、船長は船員たちと一緒に戦わ…」
「おれには行かなきゃならんところがある。



 仲間を大切にするのが白ひげ海賊団、だろ?」

ナースの言葉を遮って、白ひげは言った。
そして、一人で島の中へと入っていった。
















町に入ってすぐに、白ひげもあの酒屋に着いた。
躊躇いもなく、店の中へと入る。



が買いに来るとしたら、この店に違いない。」






店に入ると相変わらずあの主人が座っている。



「今日は妙なお客が多いな。」

主人がボソっと呟く。

「店の中で一番高い酒をくれと言ったかと思えば、いきなり走って逃げてくお嬢さんに、旦那のような大男。
 まったく面白い一日だ。」


白ひげは主人の言葉が気になり聞き返す。


「おい、その女ってのは、いつ頃来たんだ?」
「えーっと、たしか…1時間半前くらいだったはずだ。
 私が倉庫に頼まれた酒を取りに行ってたら、その横を男と一緒に走ってったんだよ。」
「男…?」
「あぁ。男二人がお嬢さんを追い掛けるようにしてったよ。

若いっていいねぇ。」


白ひげの顔が曇った。


「そいつら、どっちに行ったか分かるか?」
「町のはずれの方だったよ。
 でもあの辺には行かない方がいい。
 悪さする若い連中が、年中たまってるからな。」


「ありがとう、おっさん。」


そう言って白ひげは店を後にし、町はずれへと向かった。


















しばらく歩いた頃、少し大きな建物があった。
中からは若い男の声がうるさいくらいに聞こえる。
怪しいと思った白ひげは、建物に近付いて行った。
外壁を見て回っていると、いくつかの小窓があった。
覗いてみると、中は真っ暗だった。


「あっ…」

その中に、一つだけ小さな明かりが見える窓があった。
恐る恐る覗くと、中には一人、女の子が座っている。





!!」


白ひげは思わず叫んだ。


「………船長?」


が窓の方に振り向くと、そこには白ひげが立っていた。



「船長…」


は窓に駆け寄り、小さく開かれた隙間から白ひげを見た。

「お前、なんでこんなところにいるんだ!!」
「ごめんなさい。
 私が不注意だったせいで。
 白ひげ海賊団の雑用として、恥ずかしいですよね。」

は涙混じりに言った。



「今はそんなこと言っている場合じゃない。
 一体何が起きたんだ!
 説明してみろ!!」

白ひげは、今まで見たことのないような剣幕で怒鳴った。

「私が酒屋に入ると、二人組の男がいて。
 その人たちにお金を盗られそうになったから、逃げたら捕まえられてしまい。
 この部屋に閉じ込められてしまいました。」

を捕まえたやつは、この中にいるんだな?」
「多分いると思います。
 さっきから向こうで人の声が聞こえるので。」

が指差す方を見ると、重そうなドアがあった。
白ひげはドアに近付き、一気に蹴り飛ばす。











ドーーーン












もの凄い音と共にドアが壊れ、床に倒れた。
その場にいた全員が、白ひげを見た。






「てめェは誰だ。」

そう言われても、白ひげは黙って歩く。

「黙ってねェで、なんとか言えよ!!」

周りから色んな声が飛んでくるが、見向きもせずに歩き続ける。




白ひげがのいる部屋の近くに来た時、を連れてきた男が言った。


「まさか、おれたちの女連れてくってわけじゃねェだろうな?」

 

「…………誰の女だって?」

白ひげは振り返り、男を睨んだ。

「もしかしてあのバカ女を迎えに来たのか?
あいつ、おれたちにはむかうからこうなるんだよ、なぁ?












 お、お前…」




白ひげは男の胸ぐらを掴み、持ち上げた。



「それ以上喋ったら、命の保証はねェぞ。」
「うるせェ!黙れ!!
 勝手に入ってきて、何言ってんだよ!!」






ドンっ



「…………ってェな」



白ひげが男を殴った。




「お前、そんなに命捨ててェのか?」


小さい声でそう言い、手を離す。
鈍い音と共に、男が床に倒れた。












「うおーーーーーっ!許さねェ!!!!!」



男は白ひげに殴りかかろうとするが、あっさり片手で止められてしまう。




「おれの言葉が聞こえねェのか?」


低い声で言った白ひげの目は冷たかった。

白ひげの覇気に圧倒され、みんな息を呑む。
もちろん、床に倒れた男も、あまりの迫力にその場から動けなくなっていた。









の待つ部屋へと一直線に向かう白ひげ。
鍵のかかったドアも、いとも簡単に蹴り倒してしまう。








、待たせたな。」


「船長!!!」






は走って白ひげに駆け寄った。
白ひげの胸に顔を埋め泣きじゃくる。
それはまるで、初めて白ひげにあった時のようだった。



、身体は無事か?
 何もされてないか?」

「うん。でも、怖かった。
 だから、船長が助けにきてくれて本当によかった。」




泣き止まないの頭を、白ひげは撫でた。

久しぶりに触れる白ひげの胸は大きくて温かくて。
こうしていると、少しだけ落ち着く気がした。






「帰るぞ。
 もうエースたちも船に戻ってきてる頃だろう。」
「船長は一緒に行かなかったんですか?」


は不思議そうに聞いた。




「バカもん。
 酒の使い一つに一時間半もかかるやつを放っておけるか。」
「ごめんなさい。」

「でも、おまえが無事で何よりだ。」



白ひげはを抱え上げた。











「おい、今あいつ『船長』って言わなかったか?」
「あぁ。しかも、『エース』とも言ってたぞ。」
「ってことは……」

「「エドワード・ニューゲート!!!」」





周りを囲んでいた男たちは事の重大さに気付き、いきなり慌て始めた。
しかし、当の本人たちは何も聞こえないかのように、出口を目指していた。

















「おれはこのバカ娘を連れて帰らなきゃいけねェから先を急ぐ。
 だが、次会ったときは覚悟しとけよ。」








白ひげは吐き捨てるように言うと、海の方へと姿を消した。






































「まったく、心配させやがって。
 酒の一つ買いに行くにもおれがついてかなきゃいけねェのか。」
「心配かけてすみませんでした。」






久しぶりに白ひげの部屋に入り、そして軽いお説教を受ける。
ベッドに座ったまま、は下を向いた。










「でも、おまえを一人で外に出したおれにも非がある。
 すまなかったな。」



白ひげの言葉にはいつものような棘はなかった。






「そんな、船長のせいじゃないですって!!


 私もあの時一人になりたかったから、自分から外に出たんです。」
「一人になりたかった…?」


白ひげの問い掛けに、はコクンと頷く。



「だって船長、いつも私にだけ冷たいから。
 なんだか寂しくなって。


 それでも船長は私を救ってくれた大切な人だから信じてたけど。
 でも、やっぱり寂しいものは寂しいんです。」




「ふぅーっ」



白ひげは大きく息を吐くと、を持ち上げ、自分の膝の上に乗せた。












「おれがお前を嫌いだとでも思ったか?」
「…えっ?」

は白ひげの顔を見上げる。





「おれは愛情表現が苦手でね。
 自分の感情をコントロールするのはもっと苦手だ。」


 は訳も分からず、ポカンとしている。





「もしそれでに嫌な想い思いをさせちまってたんなら謝る。
 すまなかった。




 お前、どんどん綺麗になってったからな。
 会ったときはあんなに小さかったのに。


 あのままの距離を保ってたらいつかを壊しちまいそうで。
 大切な人を壊したくはないからな。







 すまんな、
 辛い思いさせちゃったな。」




白ひげは、一言一言丁寧に話した。
はそんな白ひげの想いを聞いて、胸が熱くなっていた。









「船長、私船長のこと信じてたよ。
 だって、あんなに優しくしてくれた。
 あの日船長が来てくれて嬉しかった。
 いつも私のことを心配してくれて、それがとても嬉しくて。



 だから、ずっと船長のこと信じてたんだよ!!」





は心配に抱き着き、背中に腕を回したが、白ひげの厚い胸板では、両手が届かない。
それに気付いた白ひげも、の背中に腕を回した。



「おれもに出会えてよかったと思ってる。
 お前がこの船にいてくれて、本当に嬉しいんだ。




 、ありがとう。」


白ひげは、少し頬を赤らめてそう言った。





「じゃぁ、感謝してるのはお互い様だね。
 これからはちゃんと、私にも優しくしてね!」





はそう言うと、白ひげの頬にキスをした。




「……?!」



突然のことに、白ひげは目を丸くした。




「これで仲直りね!」
……」



「キャっ!!!」






次の瞬間、は白ひげに抱きかかえられていて、そのままベッドの上に連れて行かれた。





「何するんですか?!船長!!!」
がそんなに可愛い顔してるのがいけない。」
「もー、そんなの言い訳になってないじゃないですか、船長!!」
「いい加減もう船長って呼ぶのはやめろ。」
「分かったからエディ!!」
「やっぱり久しぶりにそう呼ばれるといいな。






 もうどこにも行くんじゃないぞ、
 グララララララ……!!!!」














































end...













≪あとがき≫
読んでくださって、どうもありがとうございましたヽ(=´▽`=)ノ
今回はキリ番を踏んでくださったキバ子さんのキリリクでした☆
白ひげ、ガープ、クロコダイル、ドフラミンゴ、くま…の中からということで、
キバ子さんがずっと望まれていた白ひげをチョイスしてみました(/・ω・)/
初めて白ひげの夢を書きましたが…難しい!!!
何が難しいかって、出演回数が極端に少ないので参考資料が少ない!!!!
なので、ほとんどが管理人の妄想です(;´▽`A``
きっと正しくない!!!
でも精一杯書いたので、大目に見ていただけるとありがたいです(・・;)
リクをしてくださったキバ子さん、本当にありがとうございましたo(*^▽^*)o~♪
そして最後まで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。.:♪*:・'(*⌒―⌒*)))


08.07.25  涼華