うぉ。

いきなり隊長の電話がなった。
アタシはそれを合図というばかりにお茶に手をつけた。
…どうやら、電話の相手は乱菊さんのようだ。

ゆっくりお茶を飲んでいると、突然隊長の湯呑みが割れた。
その湯呑みの近くにあった書類もほとんど塗れて、字が滲んで使い物にならなくなっていた。

「……。」

吃驚した。
隊長に超能力があるのかと思いきや、次の発言でその考えをアタシの頭の中から
消し去った。

「…松本ぉぉぉおおお!!!!!」

この場に居ない彼女の名前を口にした。

(湯呑みの原因は乱菊さん、か…。)

軽く溜め息をはいた。
アタシは立ち上がって布巾をとりにいこうとした。

。」

「はい?」

隊長の怪訝そうな顔。
さっき仕上げた書類を全部駄目にしたのだから、機嫌悪い。

「総隊長んトコに行って来る。」

・・・隊長の怪訝そうな顔は、どうやら書類のことだけじゃなさそうだ。

「はい。いってらっしゃいませ。」

隊長の機嫌が少しでも良くなるように願って、笑顔で言った。

「あぁ・・・。」

カタン、とドアの音が聞こえた。
隊長は行った。

さて、湯呑みを片付けますか。

















「はぁぁーーーっ。」

疲れた。
誰も居ない部屋で書類に集中するのは正直辛いし、さびしい。
でも、書類を片付けないといけない。
なので、寂しいとか辛いとかで手を休めるわけにはいかない。

隊長、早く帰ってきてー。

・・・はっっ
でも、まだこれだけしか書類終わってないのかよって突っ込まれちゃう。
げげげ。

アタシ、書類仕事苦手だからなぁ。

「・・・戻った。」

うわっ、帰ってこなくて良いって思った瞬間戻ってきたよ、この人!
もしかして、エスパー?嫌がらせ??

「なんだ、その顔は・・・。」

どうやら、アタシは思いが顔に出てたみたいだ。

「いえ、何でもありません。あ、隊長の湯呑み、捨てさせていただきました。」

何がなんでもないだ、という顔でアタシをじっと見てくる。
とりあえず、そこはアタシが流した。
つか、気づかないフリしただけ。

「・・・あぁ、すまない。」

絶対、すまないとか思ってない、この人!!
顔が明らかに不機嫌だもん、そりゃぁもう!!
そんなことは口が裂けても言えないので、いえ、と控えめに会釈した。

話すことがなくて、そのまま書類仕事に目を通そうとしたときだった。

「・・・・バウントが尸魂界に侵入した。」

「!」

思わず、手を止めた。

そっか。

もうそこまで来てたのか。

「瀞霊廷への侵入は・・・。」

「今、さっき松本から連絡があったばかりだ。おそらく、まだないだろう。」

てか、さっきの電話、バウントの話だったんですか。
そんな感じが全くと言って良いほど、しませんでしたが。

「また、旅過ですね。」

一度目は一護達だった。
今回はバウント。

一護達みたいにバウントとも分かり合えたら良いのに、な。
・・・難しい話だけど。

にはまた書類仕事を頼むことになるだろう。すまんない。」

めずらく、隊長が低姿勢。
まぁ、前回の旅過騒動の時の隊長と乱菊さんの書類を片したのは全部アタシだったんだけどね!
え、いや、まじだって。全部。
ほとんど、下の階級の子にやらせるわけにもいかなかった書類が山済みだったからさぁ、アタシがやる羽目になったわけ。
あんときゃ、死ぬかと思ったさ・・・・。

「いいえ。その分、隊長方がいち早く旅過騒動を解決してご無事でご帰還なさるんですよね?
それに比べれば、私の書類仕事は全っ然、苦じゃないです。」

笑顔で答えたわりに、全然が強調されてたなんて誰も突っ込まないで!!

でも、これは本当。
もう誰も傷つかないでほしいのが本音だ。
しかし、死神である以上、戦わなくてはならない。
それが死神の仕事であり、義務である。

隊長が苦虫を踏んだ顔をした後、ため息をひとつついた。

・・・・まずかったかな?

アタシの方に近づいてきて、頭に手をポンポンと置く。
身長はアタシの方が高いけど、今のアタシは椅子の上。
当然隊長の方が大きいわけで、

。」

突然。
下の名前で呼ばれた。

「あんまり無理すんじゃねぇぞ。」

その手が異常に暖かかった。
涙が出そうになる。
あぁ、やっぱり、この人は凄いや。
























「・・・・・。」

じっと隊長を見つめていた。

「・・・・なんだ?」

明らかに嫌そうな顔。
そんなにアタシに見つめられるのが嫌?

「職場では、上司部下の関係で過ごすんじゃなかったんですか?」

そう、それがあたし達、恋人同士のルール。

その質問がくるとは思ってなかったらしく、ちょっと驚いた顔の隊長。
少し間をとってから、こう答えた。

「・・・・・・気が変わった。」










気分次第で変わられちゃ、こっちにとっていい迷惑ですこと。




だって、名前で呼ばれただけで、こんなにもドキドキしちゃうんだもの。










ホント、アタシの旦那様は良いご身分。















あとがき

アニメ91話の死神図鑑より。
日番谷くんが出てくることに、エンディングの最中めちゃくちゃ悶えてたのは私です(ぁ
やったやった、来週は尸魂界だv(万歳

あまり、甘くないです。
日常的というか、なんと言うか。
ちなみに、彼女は第三席です。
一応、恋人同士。
途中で甘くしようとしたら、分かりにくくなっちゃった。

何はともあれ、此処までお読みくださりありがとうございました。