理系学生の折紙な日々

 

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カブトムシが飛ぶまで/challenge to fly

 

折り紙の一つの方向性として、より複雑に、より精巧なものへと向かう部分があります。コンプレックス折り紙と呼ばれるジャンルは、芸術としての側面と同時に、数学的、工学的な側面も持っています。私たちは、前川氏による原子論、目黒氏による分子論といった先人たちの築いてきた設計手法を使うことで、対象をある程度合理的に折紙化することができます。

 

しかし、私の子供のころは、そんなことを考えることもなく、ただひたすら折り、人の作品を模倣する中からオリジナルの作品に発展させるという創作手法をしていました。

 

ところが、設計どころか展開図という概念さえおぼつかない子供の頃の作品を今振り返ってみると、まったく別の時期にまったく別ものとして創作していたと思っていた作品に、面白い類似性や共通項があり、あたかも必然的な流れで次の作品が生まれているような、そんな錯覚を覚えたんです。

ということで、「飛ぶカブトムシ」(写真下)ができるまでについて、過去の作品をベースに考察してみました。この飛ぶカブトムシは、高校時代の代表作で、昆虫戦争なるもの知った小学生時代以来の悲願がようやくかなった(と創作当時は思えていた)作品です。

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次に、小学生以降のカブトムシの一部をみていきます。まず最初に作ったカブトムシは、今でいう4鶴と呼ばれる手法でした。実際にはその一部は(魚の基本形)になっています。

 

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昆虫が飛んでいる。昔ならば、足が6本あれば十分複雑な作品、触覚があるなんてすごい細かいな、なんて時代があったのかもしれません。しかし、私が小学校の頃には、昆虫戦争という戦争が勃発しました。いろいろな昆虫が翅を広げて飛んでいる、というのです。

私がそれを知ったのは、「をる」の記事だったと思います。そのときの衝撃はすごいものでした。そしてほどなくして、前川淳氏の飛ぶカブトムシの折り図を手に入れ、何個も折りました。

しかし、自分の創作した自分の作品でなきゃいやだ、という身の程知らずの当時の私は、カブトムシを飛ばすことに必死に挑みました。そして行き着いたのがこれ

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前川淳氏のカブトムシの影響で、中心に鶴をもってくる以外のことは考えられませんでした。カドの配置も同じです。しかし、小学生当時の私には平方根という概念がありませんでしたから、辺を分けるには等分しかありませんでした。3等分というのは、15センチ折紙を5センチに折るという、(定規を容認するならば)容易で安易な方法でもあります。結局、それでは翅の長さが足りないので無理やり伸ばしました。足の一部は翅の影になりますが、つまりその部分が「ない」んです。

 


一方、それより随分と後になってからのこと。中学で平方根を学ぶと、折紙の中で「奇妙な世界」と思っていた部分が、ルート2という数字、22.5度という角度に起因しているんだなと気づくようになりました。コピー用紙を折ってたまたまできた構造を正方形にあてはめ。。。。

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 できたのが、カブトムシ(飛んでいない)です。その当時は「まったく新しい構造」だと思っていましたが、今、展開図で見てみると、面白い解釈ができます。つまり、上で紹介した小学校カブトムシの鶴領域を大きくし、それによって一部干渉している、という捉え方です。このカブトムシを創作した当時は、小学校カブトムシなんてとっくに忘れ去っていたのですが。

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次に、1対ルート2の紙は半分、また半分としていっても1対ルート2になるという性質に魅了された私がいました。学校での勉強も折紙のため、という貪欲さ。カブトムシの1対ルート2領域に、その半分の大きさの同じ形を当てはめると、そしてそれを逆の対角線方向にも当てはめ、と行きついた先が、これです。

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鶴の干渉のために尖った角ではなく、先の切れた角がでてきます。これは幸運だったと思っています。鞘翅のように先がまるく面積のあるものと、足のように細長いカドとにおなじ(カド)を使うのではなく、はじめから鞘翅には鞘翅にふさわしいカドをあてがいたい、なんてのは完全に後からのこじつけです。

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 偶然と試行錯誤に頼ってたどり着いた作品ですが、思い入れもありもっとも気に入っている作品でもあります。

もちろん、設計的手法が折紙にとって有効で、大きな武器であることは事実ですが、折って折って折りまくる創作も楽しい発見やめぐりあいがまだまだあるんだとおもいます。

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