それは今より発達した未来のお話。



 21世紀半ば、ネットワークシステムは飛躍的に進化した。
普及率も格段に高くなり、今や一人一台のパソコンが当たり前な時代に変わっていく。



 そんなとき、ある会社が作ったオンラインゲーム「SkyLine」が流行りはじめた。
内容は「仲間と冒険をする」という従来のゲームと何ら変わらない、むしろ古典的なものだ。
しかし、一つだけ、決定的に違うものがあった。
自分の精神全てが、ゲームの中に入るのだ。

 おとぎ話のようなゲームの仕様に人々は驚いた。
「精神が入り込むだって?」
最初こそ嘲笑の対象だったそのゲームは時間が経つにつれだんだん人々に受け入れられてきた。
子供はもちろんのこと、その親、さらには祖父母までもはじめる始末。


 違う世界が体験できる
 いつでもリセットがきく


 そんな魅力に魅了され、老若男女隔たりなく人々はSkyLineへ足を踏み入れた。
そして3年が経つ頃、人々はこのゲームを尊敬の意を込めて 新世界 と呼んだ。


 次第に町からは人の影がだんだんなくなっていった。
動いているのはロボットのみ。
物悲しい車輪音だけが、町に響くようになっていった。


 そんな時代を嘆き、テレビから訴える政治家が出てきた。

「昔のほうがよかった」

 彼らは必死に人々へ訴えかける。
しかし人々はテレビなんて見向きもしない。
それでも彼らは訴えかけた。

 テレビの使用頻度が低くなり、放送関係者のほとんどが新世界へ移り住んでいっても。
あれだけあったチャンネル数が片手で数えられるほどになっても。
政治家は叫ぶ。
誰にも届くことなく、はらはら無常に言葉が消えていくのをしりながら。


 新世界から、現実を奪取するために。